80名規模の学生組織の代表を務めながら、数々の長期インターンを経験してきた男子に、それぞれの動機と差異について話を聞いた

The following two tabs change content below.

白石 大樹

【早稲田大学(20卒)】【Inno-BUTAライター】大学受験の挫折やフィリピンでのボランティア経験より形成された《尽力》という価値基準を基に、長期インターンの紹介事業に従事。エージェントとして通算100名以上の学生とキャリア面談を実施する傍ら、NPO法人で難民支援にも取り組んでいる。

長期インターンやキャリアに関するご相談はLINE@へ!
友だち追加

慶應義塾大学の理工学部に、山口拓哉(やまぐちたくや)さんという4年生がいる。

 

大学時代の経歴を簡単に紹介すると、1年時から海外インターンシップ事業を運営する学生団体アイセックに参画し、大学3年時には慶應支部の代表を務める傍ら、コンサルやITベンチャー、PEファンドなど数々の長期インターンを経験。その後の就活では、戦略コンサルやメガベンチャーなど人気企業から内定をもらいながらも院進学を決意。現在は、全国で16000名の学生が利用するキャリア支援団体エンカレッジの慶應支部長を務めている。

 

NPO法人アイセック・ジャパンは、126の国と地域で活動する世界最大級の学生組織AIESECの日本支部として、海外インターンシップ事業を手掛ける学生団体。国内の学生や法人様に対して海外インターンシップのプログラムを提供している。

 

学生組織の代表に加えて、長期インターンとしてビジネスサイドにも関わってきた彼に、なぜ代表や長期インターンを経験したのか?学生組織と長期インターン、どちらも本気でコミットしてきたからこそ語れる両者の違いとは?を中心に取材してきた。

全に成り行きで始めた長期インターン。でも、なぜ?

(学生団体AIESEC慶應委員会)

山口さん
初めて長期インターンをやろうと思ったきっかけは、完全に成り行きですね。
だいき
成り行き?
山口さん
はい。大学2年生の夏頃、アイセックで法人営業をやっていたんですね。

当時、週に1回ほど団体の先輩と一緒に営業先に行って、海外インターンシップ受け入れの提案をしていた彼。自ら考案した海外インターンシッププログラムの提案で、とあるフィンテック系のITベンチャーへ訪れ、見事受注。その後の実行を社員さんと推進することになり、長期インターン生として関わることとなった。

 

僕は対学生に長期インターンを紹介する事業の中で、相当数の学生と話をしてきたが、実は学生組織と長期インターンを両立している人間はあまりいない(印象だ)。エージェントとして面談する多くの学生が、サークルなど学生組織を引退後に、就活に備えて長期インターンを始めるケースが圧倒的に多い

 

それなのに彼は、その後もアイセックと両立しつつ(しかも途中、80名規模のアイセックの代表を務め、組織のマネジメントや戦略策定を行いながら)、コンサルの長期インターンでは企業分析と営業を経験。ITベンチャーのインターンでは、1000人規模のイベント設計と運営、最近ではPEファンドでWebサービスの改善や事業戦略設計の手伝いをしている。

 

長期インターンなどのビジネス経験も積んでいるのにも関わらず,学生団体でも代表をしようと思ったのはなぜだろうか?

想と実態。リーダーが成長しない限り、学生組織は終わる

(代表として率先して活動してきた)

だいき
そもそも忙しいはずなのに、なぜアイセックの代表に立候補したんですか?
山口さん
「海外で活躍するグローバルリーダーを輩出する」というmissionを掲げているのに、事業や組織の観点から足りない部分があると感じていて。

理想は語るけど、実態が伴っていない。その部分を変えない限り、アイセックに所属する意味がないと思ったんですね。

山口さん
それに、アイセックは社会に対して何かしらの影響を与えたいという強い想いを持った人間が多いんですけど。

でも、結局良いことは言っているのだけれど、周りの人を大切に出来ていないとか、当たり前のことが出来ていないとか、そういう人も少なくなかったので。僕はそういう人になりたくないし、組織としてもその部分を変えることが出来ればと思った。

“学生組織は理想を語るだけ”という話はどこかで聞いたことがある…。前提として、彼は学生組織を否定する気もないし、僕もする気はない。ただ、事実としてそういう傾向があるという話だ。

 

僕も大学2年時に、フィリピンで教育支援をする学生団体に所属していたことがある。当時のミッションは「フィリピンの子ども達が夢を実現するサポートをすること」(だった気がする。しかもこれは手段だ…)。だが、ミッションを実現するために必要なコトではなく、自分達がしたいからするというのが思考が先行していた。例えば、フィリピンに●●という課題があるから▲▲をする、ではなく、自分がやりたい××をする、といった具合だ。

 

当時の僕はその部分に違和感を感じて他の組織に移ったのだが、彼の言わんとすることはそういうことなのだろうか。

山口さん
それに、ただでさえ組織体制やオペレーションが不完全なのに、リーダーがちゃんと力を持っていないと上手くいかない(組織として回らない)わけですよ。

学生組織のリーダーって、リーダーになった時点で優秀な凄い人ってあまりいないと思うので、だからこそ組織の外に学びを求める必要があると思います。

だいき
確かに。リーダーの力量次第というのは理解出来る気がします。
山口さん
自分が経営層になると、必然的に上の人がいないので。外の環境を求めに行くことが大事ですね。

足の草鞋でやってきた彼に、同時並行でやるメリットを聞いてみた

(現在、支部長を務めるエンカレッジ慶應)

山口さん
リーダーが外の環境に学びを求めるって、組織に限らず当然その個人にとってもプラスなので、学生団体と長期インターン、どちらもやることは良いと思いますね。
だいき
どういうメリットですか?
山口さん
一番は学生組織と長期インターンの両者で得られるスキル等は、実は領域が異なるモノが多くて

学生組織は早めにマネジメント層に行けるので、人を巻き込むなどの経験が積めますし、意思決定の影響範囲が大きいポジションで、どう組織を作り上げていくのか考えて実行していく経験も出来ます。

山口さん
一方で長期インターンは、割と決められた枠組の中でしかやれないので、そうした経験は中々できない。ただ、根本的な力は身に付きますね
だいき
根本的な力?

“根本的な力”の定義として、仕事へのスタンスと汎用的なスキルで大別してくれた。前者は泥臭い(地味な)仕事をコツコツ積み上げていくこと、後者は論理的に物事を組み立てる、相手にしっかりと伝えるコミュニケーション能力等のことを指す。

 

彼が就活で感じたこととして、新規事業やマーケティングなど言葉が一人歩きして、キャッチ―なイメージを持っている学生が多いということ。しかし、想像と実態は乖離している。以前、インタビューした学生も、同じようなことを話していた。

バンドでNHK出演。そこからビジネスへ向かった地方男子の尖りと展望

新規事業であれば、提供されたアイディアが本当に価値あるモノなのかを検証するために膨大な資料を分析したり、カタチ作ったものを届けるために別のマーケティング戦略を立てる必要があったりと、地道な作業を積み重ねることが大事だが、その部分を実体験している人が少ないという。

だいき
何で、そうした根本的な力は学生組織では身に付かないのですか?
山口さん
ビジネスが成果主義というのもあるんですけど、やはり学生より社員さんの方が優秀な場合が多いですし、あとは長期インターンは基本的に個人の成長に対してコミットしてくれる

当然採用にコストがかかっているので、雇った学生が成果を出せないと企業としてもダメなわけで。だからこそ、一人ひとりにちゃんと向き合ってくれる。よって、ベーシックな社会で使える能力がより身に付くという見解ですね。

今回は代表を務めるなど学生組織にどっぷり浸り、加えて数々の長期インターンを経験するなどビジネスサイドにもコミットしてきた彼に、それぞれの動機と差異について取材した。学生組織と長期インターン、両者の良さについて色んな人と議論を展開する際に一方を批判するスタンスになりがちなのだが、学生組織を活かすためにリーダーが率先して両立するという言説は、代表を経験していたからこその意見で、個人的には新たな視点だった。

 

最終的には経営者として、事業に限らず組織や場づくりをしていきたいと語ってくれた彼の今後を、陰ながら応援していきたい。

Twitterで